遥か彼方からの―ひびき
HIBIKI - Resonance from Far Away
Directed, choreographed and designed by Ushio AMAGATSU
<1幕6場・90分・休憩なし>

(c)Sankai Juku

遥か彼方からの―ひびき

 
闇の中から聞こえてくる水滴の音。舞台一面に敷きつめられた砂。やがて姿を現す、胎児のようにうずくまったまま鼓動を伝える五人の舞踏手。そして、薄明の中で冷たい光を放つ十三枚の水盤。このひそやかな音と息をのむ美術をもって、静かに、しかしひと息に、天児牛大は観るものを自分の世界に引きずり込んだ。

 
児の振付は、立つ以前の肉体に丁寧にこだわりながら、踊りがかくも繊細にものを語り、かくも感情的に観客のイメージを呼び覚ますものだということを思い起こさせる。観客は、世界40カ国で賞賛を浴びてきた天児のソロと、群舞という言葉を使うことをためらわせるような個々の舞踏手が紡ぎ出す踊りが、加古隆と吉川洋一郎の音楽に拮抗しつつ、光と影の交差するこの「砂と水盤の庭園」で化学反応を起こしているのを目のあたりにする。

 
海塾の『ひびき』は、振付家であり、演出家、デザイナーでもあるという新しいアーチストの形を提示してきた天児が、21世紀の舞踏の力を予感させてくれた、一時代を画する作品である。


演出・振付・デザイン 天児牛大
 
音楽 加古隆、吉川洋一郎
 
舞踏手 天児牛大
蝉丸
竹内晶
市原昭仁
栩秋太洋
長谷川一郎
 
協力 フランス国立現代舞踊センター・アンジェ
共同プロデュース パリ市立劇場
アイオワ大学ハンチャーオーディトリアム
財団法人 びわ湖ホール
山海塾
初演 1998年12月 パリ市立劇場
 
(C)Sankai Juku

公演評

天児牛大の言葉を超えた美学が、我々を魅了するのである。……舞台上でひそやかに繰り広げられる視覚的メタモルフォーズと光の実験、これは最もすぐれた造形美術家たちをも絶望に陥れるであろう。
ル・モンド

(c)Masafumi Sakamoto

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